WBC大谷選手への推察

第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本チームの優勝までの過程では、記憶に残る日韓戦やアメリカとの決勝戦など野球ファンの筆者も充分過ぎるほど堪能させてもらった。特に最後のマイク・トラウト選手と大谷選手(投手)との対決は、当初から描かれていたドラマか漫画のような結末だった。大会の全試合の中で少し残念だったのは日韓台のアジアの野球強国から韓国と台湾が一次リーグ敗退したことである。日本の優勝が決まった後も大谷選手やメジャーリーガーのラーズ・ヌートバー選手を、もういいよと思うほどメディア(テレビ)が繰り返し電波にのせることにはいささかウンザリだった。そんな中で筆者が注目したのは、大谷選手のWBCを通しての感想を伝える冷静と思えるコメントだった。

大谷選手は優勝後のインタビューで優勝したことの価値のコメントに「日本だけじゃなく韓国や台湾、中国などでもさらに野球を大好きになってもらえるように」という趣旨の発言があった。ここで語られている深い意味を推察してみることは価値があることに思える。それは野球をこよなく愛し、野球が好きな世界中の野球人やファンへの、大谷選手のリスペクトが語られているということだ。国を越え、人種民族を超えた野球への大谷選手の思いである。野球が心底好きな青年の敬虔な思い素直な吐露であろう。WBCという短い期間に大谷選手の胸中にどんな変化があったのだろうかと推察することに意味があるような気がする。筆者の独りよがりの勝手な推察である。いまアメリカのメジャーリーグ(MLB)で最高の選手、異星人と称されるほどの大谷選手の中では、日本を中心とするアジアでのもう一つのメジャーリーグ構想が芽生えていったのではないだろうか。日本、韓国、台湾それぞれのプロ野球機構が合体、もう一つのメジャーリーグ機構を起ち上げ、MLBとアジアメジャーリーグの覇者が真の世界一を競うという夢を大谷選手は描いたのかもしれない。アジアリーグがMLBと対等なレベルになるためには今回のWBCで、どうしても日本が優勝しなければいけないと考えたとしても不思議ではない。だからこそ韓国、台湾などへのリスペクトだけではなく、一次リーグを突破して欲しかったとの思いを込めての大谷選手のコメントになったような気がする。現在この三つの国で合計28の球団があり、MLB に匹敵する機構が出来上がれば、ファンには夢は広がりこれまでになかった試合を楽しめるのではないか。そんなことを大谷選手が空想していたとすれば、などと筆者は思う。しかし実現の可能性はかなり難しいだろうと多くの人が考えるにちがいないと。議論百出、否定的な考えが続出することだろう。利害関係、選手の年俸格差のことなどで簡単には話は進まないどころか否定的な意見が圧倒的、物笑いの対象になるのが関の山だろう。それでも未来への巨視的な観点をもっていると思われる大谷選手からしてみれば、諸々の困難を乗り越えてMLB に匹敵する大きなリーグの結成は、野球の未来にとってはどうしても必要な改革と映るのかもしれない。釜山のロッテ・ジャイアンツが福岡のソフトバンク・ホークスと当然のことのようにシーズンの公式戦を福岡のPayPayドームで戦っている。釜山のロッテ・ジャイアンツファンは高速船を利用して応援、観戦に来ている、なんてシーンを想像するだけでワクワクするものがある。そこには反日も嫌韓もない。そんなシーンが日常的でなんの違和感もない。

世界中で絶えない紛争や戦争を少しでもなくし、芸術やスポーツを通して国と国との交わりが地域の平和に寄与できる。そんな壮大な夢を実現できるかもしれないという思いが大谷選手にはあるのかもしれないのだ。大谷翔平という青年は、どんな知識人や政治家をも超越した21世紀最大の平和の使者、近い未来の指導者なのかもしれないと思うのは筆者の妄想なのだろうか。(洋一)

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