韓国映画「タクシー運転手~約束は海を越えて」

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1980年5月全羅南道光州市に起きた民主化運動が主題の映画である。民主化を、戒厳令の解除を目指し、学生市民がひとつになった運動に警察・軍が銃を向け多数の死傷者を出した騒擾事件となった。まだ観ていないという人には観ていただくとしてあらすじは省略させてもらう。多くの記録資料があるのでいつでも手にすることができる。映画は事実とフィクションを取り混ぜて作られているが、わかりやすくしかも心動かされる内容をもった話である。厳しい報道規制下、ドイツ人ジャーナリストとタクシー運転手の連携プレーにより国外に持ち出された貴重な映像により光州で起きている事態の様子が世界中に知れ渡ることとなった。通行禁止をくぐり抜けた二人の勇気ある2日間の一連の行動を韓国人の監督が2017年に映画作品に仕上げている。映画についてのレビューも多く読むことができる。参考にされるといいと思う。筆者は別の観点から感想を書くことにする。

20世紀から現代までの朝鮮半島の歴史を俯瞰すると、それは民主化と自主権獲得の闘い、運動だったといえる。大局的観点から時系列的に見ていくと以下のようになる。   (1)1919年 三・一運動 日本による韓国併合への反対運動、独立宣言。筆者が「マグノリアが咲くまでに」という拙文の小説にしているものだ。一読していただければと思う。(2)1948年 資本主義国家の大韓民国と社会主義の朝鮮民主主義人民共和国の二つに分裂した建国と現在まで続く対立    (3)1960年 四・一九革命 韓国初代大統領李承晩政権打倒を成し遂げた学生運動。(4)1980年 光州事件 このブログに書いている一連の軍事独裁政権打倒の民主化運動。(5)2017年 ローソクデモにより保守派政権の朴槿恵大統領退陣を求める大規模デモと進歩派政権の文在寅政権の誕生。 これらに共通する理念は、民主的な政治と自主独立への飽くなき渇望である。しかし進歩派政権になればその観念的理想主義的な政治への失望と挫折、保守派政権への回帰を繰り返してきたのが韓国だったのではないか。この映画を観て思うことは、何事も両極端に走り白黒をはっきりさせないと気がすまない国民性と、自分は絶対に正しいとする独善性は変わらないんだなあという思いと、政治に関しては実に熱くなる国民であることに変わりはないようだ。それが大規模なデモ、政治的な運動を繰り返してきた理由ではないだろうか。(洋一)

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