終戦記念日(8月15日)を前にして

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近現代史の中にあって、8月という月の日本最大の出来事といえば広島・長崎の被爆と太平洋戦争の終結であろう。終戦記念日とよばれる8月15日は、日本の歴史を俯瞰すれば大化の改新、明治維新(王政復古)とともに歴史を大きく転換させる三大エポックの一つだと筆者は考えている。

恒例となった終戦記念日の式典のテレビ放映を目にするたびに、日韓近現代史に関心を持ち続けてきた筆者は、韓国での同日の式典にも同じくらいの関心を持っている。中でも1974年の式典中の事件は鮮明過ぎる記憶の出来事だった。韓国では光復節と呼ぶ独立記念日となっている日で、1974年は祝辞演説中の朴正熙大統領暗殺を狙った在日朝鮮人、文世光による狙撃事件が起きた年である。大統領を逸れた銃弾により同じ壇上にあった陸英修大統領夫人が射殺された惨劇となり、その後の日韓関係が国交断絶寸前にまで発展した政治的事件となった。

ターゲットとされた朴正熙元大統領は功罪相半ばすると評される大統領であるが、漢江(ハンガン)の奇跡とよばれる韓国経済発展に寄与した功績は韓国の歴史上で特筆されることがあってもないがしろにできるものではないと思う。この事件の同じ日には大統領は韓国初のソウル地下鉄開通式が予定されていた。地下鉄の完成は漢江の奇跡の象徴の一つであり、日本の技術、経済協力の象徴でもあった。そんな時代の風景、地下鉄建設にまつわる話をフィクションとして「キロギを抱いて」という作品に書いてみた。一読いただければと思う。

それにしても人の評価は時代の経過とともに変われば変わるものだとの感慨を持つのは筆者だけではないと思う。朴正熙元大統領の評価や扱いが現代の韓国で親日派の象徴でもあるかのような位置におかれていることに違和感を覚える夏の日々である。別の項で朴正熙元大統領にも触れてみたいと思う。(洋一)

*上に紹介した作品「キロギを抱いて」は本サイトメニューの作品リストに載せています。

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